家の売買の際に瑕疵担保責任(契約不適合責任)と言うワードが必ず登場します。要約すると、物件の欠陥や不具合について引き渡し後も一定期間は売主が責任を負うルールの事です。
このルールは2020年改正民法で瑕疵担保責任から契約不適合責任に呼称が変わるとともに、買主の権利が広がりました。中古と新築、売主が個人と業者とではルールが異なり、更に複雑になっています。
そこで、今回は中古物件の売買では欠かせない瑕疵担保責任(契約不適合責任)について、わかりやすく解説します。
そもそも瑕疵担保責任とは?
瑕疵担保責任とは、住宅の売主が買主に対して負う重要な責任事項で、瑕疵担保責任が適用される期間内に、売主の瑕疵担保責任を問えるような欠陥が発見された場合は、買主は売主に対して、修繕や売買契約の解除などを請求できます。
「瑕疵(かし)」とは、建物の不具合や欠陥を指し「建物が本来あるべき要件を満たしていないこと」はすべて瑕疵となりますが、中古住宅の場合、一般的には次のように対象項目が限定されております。
- 建物の構造上主要な部位の腐食
- 雨漏り・漏水・浸水被害
- シロアリ
- 給排水管の故障
購入した住宅が瑕疵担保責任の期間内に、この様な症状が現れた場合、売主は責任を持って対応しなければなりません。
中古住宅の瑕疵担保責任の期間
瑕疵担保責任(契約不適合責任)の適応物件は、一定期間において売主が責任を負うこととなっています。責任追及できる期間は、売り主が個人か不動産業者かによって異なり、隠れた瑕疵(不適合要因)を早く見つけることも重要です。
売主が個人の場合
民法で、瑕疵(不適合要因)を発見した日から1年以内が瑕疵担保責任を負う期間とされています。しかし契約約款で修正・変更が可能で引渡しの日より3ヶ月程度に限定する契約が慣例になっています。
また、築年数が古い住宅の場合、「現況有姿」といって売主と買主の合意のうえ、売主は瑕疵担保責任を負わないという契約書が作成されることもあります。
売主が宅建業者の場合
宅建業者から購入する場合の瑕疵担保責任の期間は、民法の規定する買主が瑕疵を知ってから1年以内、かつ、「宅地建物取引業法(通称:宅建業法)」によって「物件引き渡しより2年間の瑕疵担保責任」が義務つけられています。
中古住宅の取引では、規約約款の中で瑕疵担保責任の期間の他、瑕疵の範囲については「雨漏りとシロアリ、給排水管のみとする」など限定する場合もあります。中古住宅の買主は、できれば契約の前に、遅くとも1ヶ月以内(瑕疵担保責任の期間)には、専門家によるホームインスペクション(建物調査)を行い、隠れた瑕疵を発見することが重要です。
インスペクションの有効利用
中古物件を購入した場合、引き渡しを受けてから短期間に隠れた欠陥を見つけることができるでしょうか?
例えば、瑕疵の代表的な雨漏り。雨量によって室内に症状が出ないケースもあり、一般の方が簡単に見つけるのは困難です。後々、雨漏りが分かったとしても瑕疵担保責任の期限が過ぎていたら、修理代は自費となるばかりか、長期にわたる漏水被害の原状復帰は相当の費用がかかってしまいます。
そこで、瑕疵担保責任の期間内のインスペクションの実施を推奨いたします。インスペクーと呼ばれるプロの診断士が住宅に欠陥の有無を調査するサービスです。
このインスペクションは契約前に実施することがベストですが、何らかの理由で実施できない場合であっても瑕疵担保責任の適用期間内であれば、瑕疵に対する有効な主張を行うことが出来ます。
インスペクションはどんな調査するの?
インスペクション(建物状況調査)は、消費者が中古住宅の取引時点の物件の状態・品質を把握し、安心して売買ができるよう、宅建業法に規定された調査です。インスぺクターと呼ばれる有資格者の第三者が客観的に国土交通省のガイドラインに基づき以下のような調査を行います。
- 基礎:幅0.5㎜以上のひび割れ等の有無
- 土台:劣化や欠損、シロアリ害等の有無
- 床:6/1000以上水平の計測、6/1000以上傾斜の有無
- 柱、壁、劣化や欠損、垂直の計測、6/1000以上の傾斜の有無
- バルコニー:支持部材又は床のぐらつき、ひび割れ劣化等の有無
- 小屋組:著しいひび割れ、劣化や欠損の有無
- 外壁(開口部含む)シーリング等の破断、欠損、劣化の有無
- 軒裏:軒裏天井の雨漏れの有無
- バルコニー:防水層の著しいひび割れ、欠損、劣化の有無
- 内壁:雨漏れの痕跡の有無
- 天井:雨漏れの痕跡の有無
- 小屋組:雨漏れの痕跡の有無
- 屋根:屋根葺き材の著しい破損、ズレ、破損、劣化、欠損、浮き又は剥がれの有無
インスペクションのメリット
インスペクションの実施により建物のコンデションが把握でき、売主と買主がお互いに安心で納得した取引が行えます。その他条件次第で、瑕疵保険加入やリフォームの際に国の補助金制度が適用可能となるメリットなど挙げられます。
買主さんのメリット
- 家の欠陥の有無が分かり、購入の判断材料として利用できる。
- 引渡し後でも瑕疵担保責任期間中であれば、インスペクション実施により発見された瑕疵は、売主が責任を負い、買主は損害を免れる。
- 瑕疵や劣化の問題点が出た場合、補修等の計画や費用負担など売主と事前協議ができ、トラブル回避に繋がる。
- 既存住宅瑕疵(かし)保証保険の加入や税制優遇、長期優良住宅化リフォーム推進事業における補助金支給の条件となる。
売主さんのメリット
- 家のコンデション開示や「検査済物件」・「保証付物件」など、他の物件との差別化を計り販売促進につながる。
- 引渡し後の瑕疵担保責任の回避やトラブル発生リスクを軽減
インスペクションの料金相場
インスペクションの費用は、一戸建て住宅で5〜8万円、マンションで4〜7万円が相場となっており、家の面積によって異なります。
アースホームサービスの関連事業アースホームインスペクションは、一戸建てで44,000円〜、マンションで30,800円〜共に税込価格のロープライスで提供しております。詳しくはこちら
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